逮捕されて留置所に入れられると、普段の生活とは大きく異なる環境が待っています。特に、普段当たり前に行っていること、たとえば煙草を吸ったり、お酒を飲んだりすることができるのかは、気になるポイントですよね。また、ドラマや映画でよく見るシーン「取り調べ中にカツ丼を食べる」などのエピソードも、本当にあるのか疑問に思うことも多いでしょう。今回は、留置所での生活や取り調べ中の細かいルールについて解説します。
留置所で煙草は吸えるのか?
留置所で煙草が吸えるのかについて、結論から言うと基本的に吸えません。現在では、留置所内での喫煙は禁止されていますが、実はそれには歴史があります。
以前は、留置所内で煙草を吸うことができた時期もありました。2012年までは、留置所内で煙草を吸うことが可能でした。例えば、朝食後や朝の運動の時間に1日2本まで喫煙が許可されていたのです。この頃は、煙草を吸うことが日常の一部として認められていたため、吸える時間も設けられていました。
運動の時間については別途記載の留置所の一日の過ごし方教えますをご覧ください。
しかし、2013年4月1日から、留置施設の全面禁煙が実施されました。この変更は、受刑者の健康や施設内での火災のリスクを減らすために行われたもので、以降は完全に喫煙が禁止となり、煙草を吸うことはできなくなったのです。
このように、留置所内で煙草を吸うことはできませんし、外部から煙草を差し入れしてもらうこともできません。吸いたい場合でも、施設内で許されているのは喫煙ができないという点です。
お酒は飲めるのか?
留置所でお酒が飲めるのかについては、完全に飲めません。日本の刑事施設において、受刑者がアルコールを摂取することは法的に禁じられています。
その理由としては、精神的な安定を保ち、施設内での秩序を守るためです。アルコールを摂取すると、被疑者の行動が予測できなくなり、トラブルを引き起こす原因となる可能性があります。また、精神的にも影響を与えるため、健康管理や安全面の観点から、留置所内でお酒を飲むことは一切認められていません。
したがって、留置所にいる間は、喉が乾いた場合でもお酒を飲むことはできません。水やお茶などの飲み物は提供されますが、アルコール類は一切提供されないという点を理解しておく必要があります。
取り調べの時にカツ丼や煙草が出てくるのは本当?
ドラマや映画でよく見る「取り調べ中にカツ丼を出される」「煙草を吸いながら取り調べを受ける」といったシーンですが、これが現実であるかどうかについては、実際にはあり得ません。理由を詳しく説明します。
取り調べ中の煙草
以前、取り調べ中に被疑者に煙草を吸わせることが一部の刑事の間で行われていた時期がありました。特に、煙草を吸いたい一心で供述をしてしまうという事例が問題視されたのです。多くの供述書が「煙草が吸いたくて、つい供述してしまった」という内容になり、これが不正な取り調べに当たるとされました。
そのため、取り調べ中に煙草を渡すことはNGとなり、現在ではほとんどの警察署で煙草は一切提供されません。このような取り調べ方法が不正に利用されることを防ぐため、現在では煙草が取り調べの条件として使われることはありません。
取り調べ中のカツ丼
また、取り調べ中にカツ丼を出すこともありません。ドラマや映画ではよく「取り調べの合間にカツ丼が出される」というシーンがありますが、これはフィクションの世界の話です。現実の取り調べでは、供述の内容に影響を与えるような食事の提供はありません。
むしろ、取り調べ中に食事が出される場合でも、通常は簡単な弁当や軽食程度です。カツ丼のような豪華な食事は、実際の取り調べでは考えられません。
任意同行の場合
ただし、任意同行の場合は少し事情が異なります。任意同行とは、逮捕状を持っていない警察官に呼ばれて、任意で警察署に行くことです。この場合、取り調べの合間に昼食の時間などで外から出前を取ることが可能です。しかし、この場合、費用は自己負担となり、刑事が食事代を支払うことはありません。
もし刑事が食事を「おごってしまう」と、後々「その取り調べが任意ではなかった」とされるリスクが生じます。刑事が食事を提供することが、取り調べが強制的であったことの証拠となってしまうため、食事の提供はあくまでも「任意」の範囲内で行われます。
まとめ
逮捕されて留置所に入ると、普段の生活では当たり前にできていたことが制限されることが多いです。特に煙草やお酒については、留置所内では一切吸うことができず、飲むこともできません。また、取り調べ中に「カツ丼」や「煙草」を渡されることは、過去の不正な取り調べが問題視されたことを背景に、現在ではほとんどあり得ないこととなっています。
もし、任意同行による取り調べの場合は、昼食の時間に出前を取ることは可能ですが、刑事が食事を「おごる」ことは絶対にありません。どちらにせよ、取り調べの環境は厳しく、自由に食事を選ぶことができるわけではないことを理解しておく必要があります。
当たり前ですが、逮捕されて勾留中は自由がございません。普段当たり前にできていることがどれだけ幸せだったのかと噛みしめて、我慢を覚えることも大切です。