被害者との示談は進みませんでした。
未だに接見許可は下りず、一度も息子には会えないまま進む状況に、只々胸が苦しい日々が続きました。
「被害者の被害感情は強く、示談に応じるつもりはないそうです」と弁護士の先生からの電話で、「事態は最悪な方向に動いている…」と恐怖を肌で感じ、寒い日なのに鳥肌が立ったのを覚えています。
息子からは先生を通じて受け取った、息子のお嫁さん、私たち家族宛ての2通の手紙。
家族宛てには謝罪と、「今回のことは自業自得だけれども、弁護士費用など必ず返すので助けてください」などが書かれていました。
私たち夫婦が今回のことでまず思ったことは「息子は罪を犯したことに対して被害者の方に一生をかけて償い、今後は生まれ変わって生きるしかない」ということしかありません。
しかし、息子のお嫁さんやご家族を息子の人生に巻き込んでしまったことは、「どうしたらいいのか…」と。
それを悩みましたが、当初より「息子より、お嫁さんを第一優先で考えていこう」という方向で一致しました。
LINEで息子のお嫁さんには改めて謝罪をし、「お嫁さんの考えに従っていきたいと思っている」旨を伝えました。
長いLINEをお互い本音で交わすことは初めてでした。
「まだ別れるなど考える余裕はないし形はどうであれ支えたいのが本心なので、まずは結果が出るまではちゃんと支えたいと思っています」という返信に涙がでました……。
「もっと早く本音で話して寄り添う関係になりたかった」と、こんな状況でなければこうならなかったのかと悔やみました。
母の言葉…その5